【ビジネス感覚③】現地語契約書の重要性
B社は駐在員事務所を経て、現地パートナーと合弁会社を設立することになりました。現地パートナーは現地でのネットワークを持っているとのことで、人柄もよく信頼できるように感じました。パートナーとの条件交渉を終え、日本文、英文契約書の中身も問題なく合意した後、Y国当局提出用に現地語の契約書・届出書類の作成をパートナーに任せて安心していました。ところが、後になって提出された現地語の書類が、日本語・英語版と異なり、パートナー側に有利な内容に書き換えられていたことが判明し、トラブルになってしまいました。
対策として
当然、全ての現地人が悪意を持っているわけではありません。ただ、現地駐在員のほとんどは現地語ができません。この場合、会社にとり重要で、現地で法的効力を持つ契約書に内容が分からないままサイン・押印することになります。これは気心知れた日本人間でもできないことと思います。
複数の言語で同内容の契約書を用意する場合には、「仮に内容に齟齬がある場合には、日本語版を優先する」との文言が明記されることも多いのですが、現地法上ではそれに関わらず現地語版が原則法的効力を持つことも少なくありません。従って、現地語版の契約を調印する際は、最終的に日本語に翻訳し、他言語版と齟齬がないことを確認することをお勧めします。